法人情報

2015年度 事業報告

2015年度も賛育会憲章の精神を継承し、その実践に努める職員や関係者の努力、また多くの方々のお支えによりまして諸事業を運営できたことをまず感謝申し上げます。以下、概況をご報告申し上げます。

1.2015年度重点課題については、予定通り実行

  1. (1) 清風ヒルズ金井(サービス付き高齢者向け住宅)を開設
    建築工事は順調に進み、2月18日に開所式を行いました。また、入居者募集のための広報・営業活動に力を注ぎ、開所時、75%の入居契約を結ぶことができ、開所後も継続して入居者確保に努めています。併設する訪問巡回ステーション清風園(定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業)も3月1日に事業を開始しました。
  2. (2) さんいく保育園有明を開園
    予定通り4月に開園いたしました。園児数は設置計画当初より少なかったものの、多様な文化背景の家庭が多く、細かい対応と配慮に努めました。概ね順調に運営することができました。一方では、清澄白河と有明とも保育士の補充が必要ですが、採用に苦慮しています。今後の大きな課題です。
  3. (3) 墨田区次期指定管理者に選定
    2016年度から新しい指定管理期間に入る墨田区特養等について、事業者公募が7月1日より開始されました。第1四半期中に指定管理者としての賛育会のあり方や今後の墨田区の中長期見通し(計画)との関連を検討した上で、指定管理者として継続して運営を担うために応募しましたところ、はなみずきホーム、たちばなホームとも次期指定管理者として選定されました。期間は2016年度から5年間です。
  4. (4) 東海診療所の所長交代
    東海診療所の医師交代及び老朽化した建物の建て替えについて委員会を中心に取り組みを続けた結果、森医師を1月から診療所長として招聘し、前任の中村医師と引き継ぐことができました。併せて、診療所建て替えに向けての取り組みを実施中です。
  5. (5) マイホームはるみの次期事業者への引継ぎを完了
    2014年11月より次期事業者への引継ぎを開始し、中央区、次期事業者と連携を取りながら引継ぎを進め、6月末日に無事に完了することができました。顧問弁護士を含む引継ぎ事業部会を組織して知恵と力を集めて取り組んだこと、また大規模改修中にもかかわらず、マイホームはるみ職員が細心の注意を払いながらサービスとケアに努めた結果です。
    一方、7月1日にはるみからの異動職員を引き受けた法人内他施設においては、はるみからの異動までの欠員を派遣職員などで対応しましたが、必ずしも十分な体制が築けない中で、現場を守った職員の働きがありました。このような法人一丸となった取り組みがあって、引継ぎが無事完了しました。
    尚、マイホームはるみで行っていた中央区からの委託事業「巡回型ヘルパーステーション」「地域包括支援センター」「勝どきデイルーム」については、マイホーム新川に移管して引き続き運営にあたっております。
  6. (6) 第二清風園大規模改修工事を実施
    中長期修繕計画に基づき、その初年度として第二清風園の大規模改修工事を行いました。主に、空調、給湯設備の更新、床・壁面等の改修、LED化等の工事を行いました。利用者の安全・安心・快適な環境づくり、省エネによるコスト削減等を目的としたものでしたが、大きな事故もなく、無事に工事を完了しました。
    今後は年次計画に従って、既存保有施設の計画的改修を行います。
  7. (7) 介護報酬改定へスムーズに対応
    介護職員処遇改善加算については、予算策定段階では認定要件等が不明確であったため、加算Ⅱの基準で予算を策定しましたが、今年度に入り、要件が明確になった段階で必要な措置を講じた結果、加算Ⅰを取得することができました。
    改定への対応については、事前学習会、事業ごとの確認等を通じて、大きな混乱もなく進めることができました。

2.経営状況は法人全体としては概ね順調

  1. (1) 法人全体では、経常増減差額が予算と比べ増加
    サービス活動収益は125億32百万円で、予算(11月理事会承認の補正予算:以下同)と比較して9千万円の減少でしたが、経常増減差額は2億67百万円で、予算比34百万円の増加となりました。
  2. (2) 賛育会病院は上半期良好も下半期はやや低調
    近年の重要課題として取り組んだ経営改善は、2014年度下半期から取り組んだプロジェクトが成果あげ、またその一環として患者サービスの向上にも取り組み、産科病室等のリニューアル、病棟の最新ベッドへの入れ替え、MRIの等の設備の更新を進めるとともに、地域連携の強化、院内協力体制の充実をはかりました。上半期は概ね順調でありました。しかし、下半期は医師の留学・退職等により患者の受け入れを減じたため、収益及び経常増減差額の減少につながりました。
    年度決算では、収益43億13百万円(予算比1億62百万円減)、経常増減差額は、わずかに161万円(予算比47百万円減)となり、目標には届きませんでした。
    将来計画を策定する上で、医師の安定確保を含めた診療体制整備は前提条件であり、今後更に強化します。
  3. (3) 高齢者施設は収益、経常増減差額ともに予算を上回る
    介護報酬のマイナス改定で、大幅な減収の恐れがありましたが、新設の介護職員処遇改善加算Ⅰを取得することができたことや各施設の予算達成への地道な努力(加算の取得、利用率維持・向上、空床期間の短縮、経費削減)が実って、収益は62億88百万円(予算比21百万円増)、経常増減差額は、1億95百万円(予算比36百万円増)となりました。
    職員確保(正職員、非常勤)が難しい状況の中、ある程度派遣職員で補充したものの、人員体制が必ずしも十分ではありませんでした。そのような中でサービスやケアに工夫を重ねてきた結果です。人材確保はこれからの最大の課題であります。全力をあげて取り組みます。
  4. (4) 経営改善への取り組みを更に強化
    1. ①賛育会病院の将来計画の検討を開始
      賛育会病院は経営改善と並行して将来構想検討に入りました。病院メンバーに理事長、法人事務局管理職、また建築設計コンサルタントも加えた構成で進めています。
    2. ②経営改善アドバイザーによる指導と財務状況把握の詳細化と迅速化
      経営改善アドバイザー(理事長特別顧問)の平野昭宏氏が月1~2回各施設を訪問し、現場責任者と一緒に分析及び改善に向けた取り組みを開始しました。今後も継続する予定です。
      また、月次報告に基づき、例年以上に毎月の分析を細かく行い、財務部及び財務委員会から改善策立案のためのデータを提供に努めました。
    3. ③相良清風園は経常増減差額を大幅に改善
      昨年度、経常増減差額△22百万円と大きな赤字であった相良清風園は、2014年度末からの業務改善チームの派遣による指導と現場での早急な改善実施により人件費の大幅な削減をしながら、利用率も向上も果たしました。その結果、経常増減差額で昨年より大幅に改善したものの、依然△6百万円と赤字です。今後更に継続して改善に取組みます。

3.役員交代

2004年7月から11年間監事としてご貢献いただいた長島章氏が6月末で退任され、7月1日より、新たに弥永真生氏が監事に就任されました。

4.評議員改選

今年度は評議員の改選期であり、5月23日開催の理事会において、評議員が選任されました。
片岡評議員が定款細則による定年のため、また、戒能評議員は東駒形教会から別の教会へ異動となり、地域にある教会の牧師が望ましいので退任したいというお申し出があり、後任として、高橋洋代氏、酒井薫氏が選任されました。
また、施設長評議員については、現在所属する地域や担当職務を勘案し、井上彰造施設長及び松村隆法人部長が退任し、後任として吉田美香清風園施設長、植竹香苗東京清風園施設長の2名が選任されました。他の評議員の方は再任されました。

5.リスクマネジメント体制の強化

  1. (1) 重大事故発生時の対応体制を強化
    重大事故発生時の対応については、法人事務局も含めた初動体制を整備し、事故検証、外部委員も含めた調査委員会の設置、改善策立案と実施、法人内他施設での確認・検証をスムーズに行う体制を整備しました。また、法人事務局にリスク管理担当部長を配置し、顧問弁護士を含めた日常的な対応体制も整備できました。
  2. (2) 苦情対応体制、感染症予防・対応体制を強化
    苦情対応においても、統一マニュアルの策定、情報共有の仕組みを整備しました。
    また、感染症予防、或いは発生時における賛育会病院スタッフの支援体制も整いました。感染症の発生はあったものの、いずれのケースも拡大することなく早期に終息することができました。
  3. (3) 内部監査とそれに基づく改善の継続・強化
    事故対策委員会を中心に、「ひやりはっと」からの事故防止、また発生した事故の検証に基づく事故防止手順の法人全体での確認及び訓練に取り組みました。内部監査は担当者同士の相互監査という方式で行い、実効性の高い点検及び改善に取り組みました。

6.サービスとケアの向上への取り組みを地道に継続

現場におけるサービスとケアの向上については、2014年度法人としての標準化や統一という面で大きな前進を遂げましたが、2015年度はその実施状況の確認と徹底を図ること、及びケアやサービスの手法やスキル、プログラム内容を深めていくことに力を注ぎました。
認知症ケアとして、「ユマニチュード」という手法を取り入れた実践を各施設で始めました。その一部を介護実践事例発表会で報告しました。また、通所事業やリハビリにおいては担当者の相互訪問によるプログラムやサービス内容向上へのフォローに取り組みました。栄養担当者会では、防災食品の見直しと標準化、看護担当者会では、誤薬防止マニュアルの運用状況の確認と改善を行いました。

7.社会貢献、地域での取り組みを拡大

各事業所、施設で地域との協力・連携を強める働きを行っています。高齢者に限らず様々な分野での課題に地域の諸団体と協働して取り組み、外国人介護者の日本語教室、京島長屋を使った活動、地域住民の集いの場である東海事業所「えびす屋」、地域住民対象の認知症講座、各施設のオープンハウス等、地域の多くの人々が集えるプログラムを積極的に展開しています。
また、国際交流検討委員会においては、社会貢献の延長としての国際貢献という観点から、途上国における医療・介護分野での支援、人材育成などの取り組みの検討を開始し、現地調査を含めた情報収集、調査を行いました。

8.キリスト教主義の団体との交流を拡大

キリスト教社会事業同盟の総会、高齢者福祉研修会への職員派遣、興望館が中心として取り組んでいる地域福祉施設協議会全国研修会への積極的参画、保育園における興望館、雲柱社との内部監査相互乗り入れ、東京YMCAや横浜YMCA等との協働・交流プログラムを実施いたしました。
また、「賛育会100年史」(仮称)の準備も齊藤實編著者(顧問)を中心に計画通り順調に進みました。

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