法人情報

2016年度 事業報告

Ⅰ.概況報告

2016年度も賛育会憲章の精神を継承し、その実践に努める職員や関係者の努力、また多くの方々のお支えによりまして法人の運営を行うことができましたことをまず感謝申し上げます。以下、概況をご報告申し上げます。

A.役員改選

2016度は、役員改選期でしたが、定款細則に定める定年により、17年間に渡って評議員・理事を務められた井口延氏が退任されました。後任として山田公平氏が5月21日開催の評議員会で選任され、他の理事、監事の方々は再任されました。また、7月1日開催の新理事による理事会で、小堀洋志氏が理事長に、西原良信氏が常務理事に再任されました。
任期は2016年7月1日から、社会福祉法の一部改正に伴い、2017年4月に新たにスタートする評議員会の最初の定時評議員会までとなります。
また、この制度改革に合わせて、木村庸五理事は2017年4月から評議員に就任するため、2017年3月末で理事を退任されました。

B.経営状況

  1. 1.病院事業は苦戦するも、高齢者事業は順調に推移
    賛育会病院は、2015度下半期における医師等の退職の影響を受けて、診療体制が整い軌道にのるまでの間、入院患者数等が伸び悩んだ結果、2015年度に続く黒字決算とはならず、赤字決算となりました。診療体制の整備とともに入院患者数は回復し、第4四半期は概ね収支均衡となりました。今後も、安定した診療体制を継続して維持することが課題です。
    高齢者事業については、利用率は概ね目標通りまたは目標に近い率で運営している施設が多く、概ね順調な運営状況でした。特に一般デイサービスは殆どの拠点が昨年よりも利用率を伸ばし目標値を上回りました。
  2. 2.大規模修繕の計画的実施と経常増減差額への影響
    利用者の安全、安心、快適な環境を提供するために、2015年度から計画的に大規模修繕工事を進めていますが、2016年度は豊野事業所第Ⅰ期及び相良清風園の大規模修繕を行いました。これに関わる費用の内、資産計上できなかった経費が合計123百万円あり、法人総合計での経常増減差額は△80百万円となりました。

    *詳細につきましては、決算報告をご覧ください。

C.「2016年度社会福祉法人賛育会経営方針」に基づく評価と報告

  1. 1.賛育会存立の基盤である「地域に仕える」ことを見つめ直し、社会福祉法人として取り組むべき活動を更に強化する。
    1. (1) 賛育会全体で地域活動・社会貢献活動や地域課題抽出、国際貢献、多文化共生等において、極めて活発に取り組むことができました。分野にこだわらず、子どもから高齢者まで、幅広く地域課題に向き合うことができました。また、地域にある関連団体、ボランティア、町内会・自治会及び学校等と関係を深めることができました。同時に、活動をフェイスブックやホームページなどで発信することで、情報の共有や活動・運動の広がりにつながりました。
    2. (2) 法人全体で熊本地震復興支援、特に数多くの職員派遣に取り組むことができました。これは、人手不足から勤務シフトのやりくりが難しい現場の中にあって、熊本に派遣される職員の業務をこころよくカバーした多くの職員の協力があって達成できたことでした。また報告書作成、法人報告会、各施設での報告会などを通じて、組織のミッションや価値観を職員や関係者の間で確認、共有することができました。多くの職員がこのようなことに積極的に取り組むことができる賛育会への誇りを高めることができた一年でした。
    3. *具体的な取り組みは、別途とりまとめた「地域・社会貢献活動報告書」や各施設の事業報告をご覧ください。
  2. 2.社会状況の変化や諸制度の変更を考慮しつつ、今後の事業計画を策定する。
    1. (1) 東海診療所が医師の急逝により休診を余儀なくされました。地域の医療機関・医師の協力を得て、東海清風園特養等入居者の医療体制は支えていただいておりますが、相良清風園と併せて、医療体制再構築が急務です。
    2. (2) 賛育会病院の将来計画に関しては、地域医療圏の動向や地元等からの要望及び賛育会病院の強みをベースに設計コンサルも含めた検討会を定期的に実施しました。2017年度中には、将来構想・計画を取りまとめる予定です。
    3. (3) 国の介護療養病床廃止に伴う、豊野病院の事業転換に関しては、国の動向や長野県の地域医療構想、地域の実情について資料収集や分析・検討を重ねました。2017年度中に構想・計画を策定します。
    4. (4) 墨田区が募集する都市型軽費老人ホーム整備事業に応募したところ、提案が採用され、賛育会として2つ目の都市型軽費老人ホームを着工いたしました。
    5. (5) 大規模修繕については、豊野事業所Ⅰ期及び相良清風園の工事を行いました。今後も計画的にこれを進め、2019年度には完了する予定です。
    6. (6) 今後の事業展開や転換またサービス提供内容について、国の制度や施策の状況、地域での位置づけ、社会貢献、事業継続性等の点から多角的に検討しました。
      • ・ 登録ヘルパーの確保が困難な状況にある賛育会ヘルパーステーションの事業継続について、事業所経営会議、法人経営委員会・施設長会等で協議、検討を行い、9月開催の理事会で一旦廃止することを決定しました。
      • ・ 町田事業所は国が示している地域包括ケアの目玉である「清風ヒルズ金井(医療連携型サービス付き高齢者向け住宅)」と「訪問巡回ステーション清風園(定期巡回・随時対応型訪問介護看護)」を運営していますが、運営を十分な軌道に乗せることができませんでした。今後、収支改善や運営体制強化を継続して行っています。
  3. 3.すべてのサービスの基盤であるケアの向上や改善に継続して取り組む。
    1. (1) 推進母体である各種委員会、担当者会が活発に活動し、成果を上げることができました。
    2. (2) 「持ち上げない介護」を積極的に推進することができました。
      • ・ 介護担当者会とリハビリ担当者会が連携し、下半期には介護リフトを全施設で導入し「持ち上げない介護」の実践を始めました。今後、定着させていく取り組みを継続して行います。
    3. (3) 認知症ケアについての研修や実践が進みました。
      • ・ 法人認知症ケア勉強会では「ユマニチュードケア」「ひもときシート」の勉強会を開催し、普及、定着に努めました。
      • ・ 認知症ケア学会やアクティブ福祉in東京等において、認知症ケアの実践や研究を発表する機会を与えられ、法人外においても認知症ケアについて発信することができました。
      • ・ 各施設での職員やボランティア、地域の方向けの「認知症サポーター養成」が活発に行われました。職員で認知症サポーターが850名、地域住民や自治会・町内会、また地域にある中学校や高校向けの養成講座において、2016年度で1055名のサポーターを養成しました。
    4. (4) サービスマナーリーダー養成研修の実施や、全施設での教育体制の整備が進みました。
    5. (5) リハビリ担当者会では、機能回復訓練員の育成と全体のサービス提供水準を上げ、より良い機能訓練の実施に向けて、国立長寿医療研究センターが開発した高齢者のためのエクササイズである「コグニサイズ実践研修」を受講することとし、地域事業所からの代表者が参加しました。
    6. (6) 保育園は、キリスト教主義の保育園として、どのような子どもへも寄り添う保育がおこなえるように、臨床心理士の定期訪問と行動観察を開始し、それを基にして、配慮を必要とする園児への理解を深める学習会を行いました。
  4. 4.今後の事業や活動の展開に備えて、経営基盤と財務体質の強化をはかるとともに、組織・運営体制を整備する。
    1. (1) 総合的な人材確保、養成及び職業ガイダンス等の様々な取り組みを開始しました。
      • ・ 地方も含めた全国の学校訪問等を強化するとともに、中途採用体制を整備しました。
      • ・ 実習の積極的受け入れやインターンシップにきた学生への継続的アプローチの体制を築きました。
      • ・ 介護福祉士養成校との協働や外国人留学生の介護現場での受け入れについて検討をすすめた結果、2017年度から留学生の就学・就労支援を一部始めることになりました。
      • ・ 介護福祉士や保育士養成校への訪問強化、顔の見える関係づくり(町田事業所、東海事業所での継続的な訪問活動や学校主催の懇談会などへの積極的参加)に取り組みました。
      • ・ 職員間で賛育会の理念や価値を具体的に共有する取り組み(熊本震災支援やその報告の発信、報告会開催、各種研修会での理念確認)を強化することができました。
      • ・ 賛育会の魅力や仕事の喜び・価値を職員が発信する取り組みを開始しました。
      • ・ 賛育会の地域活動・社会貢献を発信する取り組み(地域活動・社会貢献に関するフェイスブック、ホームページ等による発信、法人説明会での活用)を開始しました。
      • ・ 小学生・中学生世代への出前授業や職業体験受け入れによるアプローチ(墨田区学校支援ネットワークによる出前授業、賛育会病院、豊野事業所、東海事業所の出前授業、保育園での職場体験受入れ等)を強化することができました。
      • ・ 大学生のボランティア活動(にこにこ清風食堂等)が拡大しました。
      • ・ 非常勤職員の待遇改善(時給アップ等)へ取り組みました。
      • ・ 労働安全衛生をさらに改善する取り組みとして全施設でリフトを導入しました。
    2. (2) 施設別・事業別の収支改善への取り組みを継続しています。また、大規模修繕については、予定通り着手することができました。
      • ・経営改善アドバイザーによる事業所訪問分析及びアドバイスの継続、経理担当者の合宿勉強会を実施しました。
      • ・財務委員会による担当者の月次相互チェックについて、電子会議室を利用して始めました。
      • ・昨年度収支で苦しんだ相良清風園、訪問看護ステーションとよのは、改善への取り組みが功を奏し、成果をあげることができました。
      • ・保育園では、教材・備品等整備計画を策定し、経年劣化した備品などの入れ替え、成長度合いに即した遊具や図書、備品の見直しと整備を行いました。
    3. (3) 組織改革検討委員会が中心となって、社会福祉法人制度改革に対応する準備を進め、新定款の認可を受け、定款細則変更を行いました。また、評議員選任・解任委員会の開催など移行準備を計画通り完了することができました。
    4. (4) 事故防止、感染症対策等リスクマネジメントの強化を継続して行い成果が上がりました。
      • ・病院の専門スタッフによる「感染症ラウンド」や事故対策委員会の「安全ラウンド」を早期に実施し、見直し箇所の確認と改善を行うことができました。
      • ・感染症対策委員会では、ノロウイルス発生時の対応方法DVDを作成し各施設・事業所での研修に使用しました。
      • ・事故対策委員会では原因不明事故や重大事故の検証を法人事故検証委員会という形で速やかに行うことができ、法人内での情報共有や点検改善を進めることができました。
      • ・各施設において、防犯訓練、水害時避難訓練を行うと同時に、避難マニュアルの一部改訂を行いました。
      • ・保育園では、不審者対応、所在不明時対応の訓練とマニュアルの見直しを行いました。
    5. (5) 業務改善、省力化の一環としてWEB明細を実施しました。また、勤怠管理システムの導入準備やペーパーレス会議を一部試行しました。

以上

ページ上部に戻る