法人情報

2020年度 事業報告

2020年度は新型コロナウィルス感染症が世界中に蔓延し、各国が感染予防と対策を徹底し、人との関係や自らの生活を見直す一年となりました。皆でできることを積み重ね、一日も早い収束を目指すと共に、今なお苦しみ悲しみの中にある方々の上に神様の恵みがありますよう、お祈りいたします。

日本でも緊急事態宣言が2度発出され、外出制限や人との接触を減らすことが求められ、人々の生活は一変しました。その中でも賛育会は、病院を中心に結束して感染予防と対策をし、患者、利用者、園児に寄り添うことを許されました。また、豊野事業所が被災から立ち上がり、2021年1月には予定していた全事業を再開することができました。支えてくださる多くの人々、そして、豊野事業所が働くことを許してくださる地域の皆さまに感謝しつつ、2020年度の概況を報告いたします。

基本聖句

「その賜物を生かして互いに仕えなさい」

(ペトロの手紙一 4章 10節)

Ⅰ. 役員等

1. 第1回評議員会(2020/6/11)において、次の方々が役員として再任されました。

理事
  • 島田 茂
  • 髙本 眞一
監事
  • 山田 公平

*任期は2020年年度決算に係る評議員会開催の日まで

2. 第4回評議員会(2021/3/13)において、次の役員の退任(3/31付)が承認されました。

理事
  • 鈴木 正明

Ⅱ. 経営方針ごとの概況

1. 豊野事業所を復興し、豊野地域の復興に寄与します。

  1. 建物復旧工事は2021年1月に完了し、特別養護老人ホーム、ケアハウス、老人保健施設、介護医療院、クリニック、在宅サービスの再開計画を完了することができました。地域のニーズや環境を考慮し、クリニックは診療内容や体制を見直してスリム化した他、垂直避難が難しいグループホームは、その場での役割を終了しました。
  2. 被災者支援と復興活動協力者に感謝するチャリティーコンサート(2020年11月予定)は感染症蔓延により中止しましたが、地域住民、行政、企業や他法人と新たな関係を構築できました。
  3. 長野市社会福祉協議会、YMCA等と協力して、被災した地域住民の集いの場として始めた「ぬくぬく亭」は、運営主体を住民に移行しつつ、継続しています。

2. 賛育会病院の移転・新築計画を見直し、新たな計画を策定します。

  1. 豊野事業所の被災と新型コロナウィルス感染症(以下、コロナ感染症と記)蔓延によって、大規模な資金調達が困難となり、移転・新築計画を再検討しています。地域ニーズの再調査と病院の将来像を再確認したうえで、次年度中に実現可能な計画を立案します。
  2. 2020年11月に電子カルテシステムの更新・部門システムの導入など業務の効率化を行うなど、移転・新築時の借入資金の返済が可能な経営体制の構築を進めています。

3. 中期3カ年計画(2021年~2023年度)を策定します。

3年後の賛育会の在り様と達成すべき目標の「道しるべ」を明示しました。年度ごとの法人経営方針・施設別事業計画で定期的に計画・実施・評価を見直すと共に賛育会の目指すイメージを職員全体で共有し、法人一丸となる旗印といたします。

  • 体力づくり=時代のニーズを把握し、事業再編も含め、安定した経営構造を実現します。
  • 知恵を育む=困っている隣人のためのサービスを生み出す担い手の育成を更に進めます。
  • 仲間づくり=地域の課題に取り組み、地域住民や他法人と共感による協働の輪を広げます。

4. 経営体制を強化し、現行事業及び地域活動の継続と拡大を図ります。

  1. 地域に仕えるために、地域・貢献活動を継続します。
    1. コロナ感染症の蔓延により、施設内の地域活動やボランティア活動は原則休止としましたが、オンラインで活動に関わるボランティアや団体との情報共有は継続しています。
    2. 町田事業所の子ども食堂は、会場を学校校庭に移して実施するなど、感染対策を徹底し、地域や他団体と協働しながら継続しています。
    3. 次の施設が指定管理を更新しました。
    4. 墨田中央、町田、東海事業所内の市区と、市区内施設でクラスターが発生した際の職員の相互派遣について「介護員の派遣協力協定」を取り交わし、緊急時に備えました。
    5. 日本で介護の仕事に携わる外国人向けの日本語教室をオンラインで継続しています。
    6. 外国人留学生支援や技能実習生は、コロナ感染症の影響で入国時期が予定とは異なりましたが、受け入れは継続しています。
  2. サービスの向上を図ります。
    1. 介護サービスは感染予防と対策を継続しながら、オンラインによる職種別研修や施設間勉強会を実施し、「持ち上げない介護・認知症ケア・看取りケア」を継続しました。
    2. 医療サービスでも感染予防と対策に関するオンライン研修や勉強会を実施し、「患者と母子の命を守る」ことを最優先に、発熱病棟設置や救急受入れ等、断らない医療を継続しました。
    3. 病院の看護師や医療相談員が高齢者施設に、高齢者施設の介護員や生活相談員が病院に異動し、それぞれの専門性を発揮することで、医療と介護事業のサービス向上に努めています。
    4. 保育サービスは、緊急事態宣言下でもエッセンシャルワーカーを対象に特別保育を実施しつつ、保育士がオンラインによる研修を受講し、サービス向上に努めました。
  3. 人材の確保と育成に努めます。
    1. 職員の確保は、新卒採用活動及び内定者フォローをオンラインで行うなどし、92人の職員を採用(前年度比127.8%)、退職者は109人(前年度比92.4%)でした。
    2. コロナ禍でも、オンライン対応も含めて養成校(社会福祉士・介護福祉士・看護師・助産師等)からの実習生受入れを継続しました。
    3. 法人の職員研修はすべてオンラインで実施すると共に、2022年度に向けて職員研修体系を見直しました。
    4. 被災した豊野事業所職員が一定期間他事業所に出向して技術を共有し、各々の技術向上と業務改善に繋げています。
    5. コロナ感染症により、他法人・団体との人材交流が困難な状況が続いています。
    6. 出産・子育て中の職員が多い中、慢性的な介護人材の不足により夜勤職員の確保が困難な状況も続いています。
    7. 職員の均等・均衡処遇や労働環境の向上のために、人事・労務担当者会や労務管理研修を行い、働きやすい環境作りと職員の育成を継続しています。
    8. 人事部と各施設が学校や施設との繋がりを深め、障がい者雇用の拡大に努めましたが、前年度を維持するに留まり、拡大には至りませんでした。
  4. 経営の改善と安定化に努めます。
    1. コロナ感染症による患者の受診控え、高齢者の在宅サービス利用控えが顕著でしたが、業務や経費を見直すと共に国や都道府県の補助金制度等を活用し、経営の安定に努めました。
    2. 財務会計システムの運用を見直し、財務・会計業務の効率化を進めました。また、経理規程を改訂し、財務部組織と管理体制を強化しました。
    3. 豊野事業所復興計画に基づき、予定していた事業を再開しました。工事費用、設備投資と資金借入、返済も計画通りに実行しています。
    4. 毎月の法人経営委員会、施設長会の中で各施設の経営改善への取り組みを検証し、業務の合理化と省力化を推進しました。
  5. 組織・運営体制を見直します。
    1. 評議員会、理事会、法人経営委員会、施設長会、委員会や担当者会をオンラインで予定通り実施し、組織的な運営を継続しました。
    2. コロナ感染症に対して、危機管理委員会(4月)や法人感染対策委員会(4月他計6回)を実施し、法人内統一した対策を組織的に実施、継続しています。
    3. 医師体制が整わない東海診療所は今年度末で一旦休診し、医師募集を継続します。
    4. 賛育会後援会を法人事務局組織に組み入れました。
  6. 事故防止、感染症対策等リスクマネジメントを強化します。
    1. 地震被災時の「法人事業継続計画(BCP)」を策定し、検証していますが、その他災害被災時のBCPの作成には至らず、次年度への継続課題となります。
    2. 賛育会病院感染症担当医師(ICD)と担当看護師(ICN)が中心となって作成した法人内統一のコロナ感染症対策を実施、継続しています。また、法人感染症対策委員会をオンラインで随時実施し、各施設の感染予防や対策を改善しながら徹底しています。
    3. 顧問弁護士による労務管理や事故対応の研修を行い、リスクマネジメントを強化した他、マニュアルや規程、書式の見直しを進めることができました。
  7. 賛育会の情報発信を強化し、ボランティアや寄付等の支援活動の拡大に努めます。
    1. さんいく通信(一般誌)と賛育会ニュース(職員報)を年3回発行し、事業や感染対策等の情報を内外に発信しました。
    2. コロナ感染症の影響で、施設内での地域活動やボランティア活動を休止した他、募金依頼の訪問活動も休止しました。
    3. 後援会の協力により、6月に豊野事業所復興募金中間報告書を発行しました。また、リーフレットやさんいく通信を郵送し、法人内外に寄付による支援を呼びかけ、寄付文化の普及に努めました。
    4. 2020年度は、感染症対策をしながら医療・福祉サービスを提供する法人内事業所に、地元企業や個人から、何度も物資の提供や職員へのお弁当の差し入れをいただきました。

以上

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